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チャングンソク「最強のヒミツを探る」(2)

[4]ダイナミック・コリアの申し子

2012.02.29


「僕の魂は、誰にも何時も邪魔されたくない」

こう言い切るチャン・グンソクの新しさは、
韓流というグローバリゼーションの最前線に立ちながら、
「個」に強くこだわる精神性にある。

そしてじつは、その内面は、
明るく自由奔放な振る舞いからは
意外なほど真面目であり、繊細でもあると思われる。


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「JANG KEUN SUK ARENA TOUR 2011
 THE CRI SHOW IN JAPAN -ALWAYS CLOSE TO YOU-」の最終公演は10月26日、
さいたまスーパーアリーナで行われた。
会場には、撮影用のチャン・グンソクのパネルが置かれていた

 日本で「グンちゃん人気」が爆発したのも、観衆は彼の愛くるしい笑顔に、美男〈イケメン〉だけではないもの、余裕と才気から生じる“明るさ”とともに、彼の自由な精神と、真面目さを見ているからだろう。


ただ、私見であるが、
今回のアリーナツアーのステージでつくづく思ったのは、

チャン・グンソクはやはり、
韓国人の俳優である、ということだ。

彼の精神性に、
いまの韓国を生きる若者らしさを強く感じるのである。

じつは、「個」や「自由」にこだわる精神こそ、
これからの韓国を考えるうえで重要なキーワードになると私は思っている。

グンソクのように
「自由」「個」にこだわる強力な若者が出てきたところが、
いまの韓流の、ひいては韓国社会のパワーを表していると思うのだ。

格差拡大、熾烈な競争、整理解雇、労働者の5割が非正規雇用……、
数字の上で経済が順調に見えても、
現実にはいまどこをとっても暗いのが韓国社会だ。

日本に先行して新自由主義を突っ走り、
もはや財閥と貧困層しかいないといわれるほど格差が広がった。

とくに若者たちの状況はひどく、
20代大学既卒者の9割が雇用不安にあるといわれる。

しかし、
そんな社会を変えようとしているのもまた若者たちだ。

折しも、グンソクのアリーナツアー最終日と同じ10月26日、
来年の大統領選の前哨戦といわれたソウル市長選で与党候補が敗北、
“市民派”候補のパク・ウォンスンが当選したのは、
日本でも“衝撃的”として報じられた。

鍵を握ったのは若者であり、
20~40代の有権者の7割が与党候補に「ノー」を突きつけた。

思い返せば、
2008年の米国産輸入牛肉解禁をめぐって起こった
100万人キャンドルデモでも中心を担ったのは高校生たちだった。

2010年の哨戒艦沈没事件後の統一地方選など、
国政を左右する重要な選挙では
若者たちがツイッターで投票を呼びかけて情勢を変え、与党へ打撃を与えた。

今夏には学生たちが
授業料半額と教育の公共性を要求して立ち上がった。

既成政党に不信を抱き、
政治離れが進んでいた若者たちによる新たな動きが出ている。

韓国では
日本の何倍もの速さとダイナミズムで社会が劇的に変貌している。
若者たちの意識も急速に変わってきた。
政治闘争に明け暮れたうえ既得権に安住してしまった
上の世代に懐疑的であり、従来の価値観に縛られずに、
映像や音楽のカルチャーを吸収しながら、
自らの感性を磨き、個性を貫こうとする“新世代”が育っている。

分断国家の韓国では、
国家への忠誠・犠牲精神は個人に重くのしかかる。
しかし、物質的豊かさとあいまって、
国家を背負った従来の価値観とは違う、

「自分のために、自分の好きなことを真剣にする」
という新しい意識も育ってきた。

彼らは、自分の頭で考え、自分の言葉をもち、
「正しく生きる」とはどういうことかを問いながら、
社会へも目を向ける。

IT革命、ネット社会の申し子のような彼らは
ツイッターなどのソーシャルネットワーキングを
変革への強力な発信手段としている。

こうした若者たちの意識の変化、
新世代の登場は、芸能界も例外ではない。

「僕の魂は、誰にも何時も邪魔されたくない」
「人は人の上に人を作らず」
「真心は通じる」


チャン・グンソクが
今回のツアーで語った座右の銘は、
まさにいまの韓国の若者たちの気持ちを
言い得ているものとしてもとらえられる。

ただ人気稼業である若き韓流スターが、
周囲の目を憚(はばから)らず、既成概念に対して、
これほど毅然と挑発的な言葉を言い切るのも聞いたことがない。

「僕はまだ若いけれど、自信があります」
とグンソクはツアーで繰り返したが、

韓流の最前線に立っているという自負がよほどなければ、
なかなか言える言葉ではない。

思えば、東方神起分裂-JYJ結成に代表されるような、 ・・・続きを読む


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[5]クレバーな実物を見た


チャン・グンソクについて書いた
前回の原稿から3カ月がたってしまった。

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2012年1月23日、
主演映画『きみはペット』の日本公開にあわせて来日



この間、彼には、実にさまざまなことがあった。

4万5000人を集めた東京ドーム公演を果たし、
新作主演ドラマ「ラブレイン」を撮影し、
1月には日本で事務所を開設し、
主演映画『きみはペット』が日本で公開され、
2月には大阪京セラドームでその映画のイベントを行い、
先週にはZeppTokyoで「ラウンジh」のライブを行い、
さらに3月は日本でアルバムを発売予定、
といった相変わらず精力的な活動を続けている。

この原稿を中断した理由はほかでもない、
『きみはペット』の日本公開を控え、突然、2011年末、
ソウルでグンソクをインタビューすることになったからだ。

これまでこの欄で書いてきたことを
直接確かめられる機会でもある。

ただ
実物とステージ上での像が異なるのもまたスターというものだ。

取材時間は、表紙・グラビアの撮影時間も含めて1時間。

結論を先に言うと、
チャン・グンソクは想像どおり、
クレバーな青年であるという印象を受けた

(その一問一答は、
 週刊朝日1月27日号に表紙・グラビアを含め、
 9ページにわたって掲載された)。


こちらの質問に間髪入れずに
的確に答えてきた頭の回転の速さは、
やはり、韓流の第一線に躍り出ただけのことはあると思った。

ジョークやウイットの効いた言葉は
いかにもグンソクらしいと思ったが、
記者会見などで見せるハイなイメージとは違い、
礼儀正しく、落ち着いていた。


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「週刊朝日」2012年1月27日号


彼は最初に

「僕は
 “エンタテインメント”になるために生まれてきた」

と言い切った。

「エンタテイナー」ではなく、
「エンターテインメント」そのものだ、
と言っているところがおもしろい

(ちなみにグンソクは語学留学もしていて英語はよくできる)。

この世界で生きる以外はありえない、
他の職業に就くことなんて考えたこともない、
と語っているだけのことはある、潔い言葉だった。

意外だったのは、その実行力の秘訣について、
自らを、スポーツのプレーヤーにたとえて説明したことだ。

自分は団体競技のプレーヤーではなく、
個人競技のテニスプレーヤーだという。

つねに自分との闘いをしている、
どんな試練においてもライバルは自分なのだ、と。

そして自分に打ち勝つ練習を大事にしているとも言った。

実際に10年前からテニスをしているそうで、
「スポーツ嫌い」で通してきた彼からは意外だった。

これまでは軟弱なイメージを出していたが、
実際にはストイックな性格なのかもしれない

(そうでなければ、
 厳しい韓国芸能界の競争では生き残れないかも)。

質問でも、
こちらがどんな球を投げても確実に打ち返してくる感じだった。

際立っていたのは、自分を見る冷静さである。

これまでステージでは
「若いけれど自信がある」と語っていたが、
その自信の“源泉”についても明確に答えてきた。

前々回、書いたとおり、
子役のときから
芸能界で活躍してきたことがやはり大きいようだ。

「(略)自信を持つというのは、つまり、
 自己愛、確固たる自己愛が必要だと思うんですけど、
 その半面、とても自分に厳しい、
 自分を客観視することも必要だと思います。
 子役からずっと俳優業をやってきて、
 そういったトレーニングを自然に積んできたからだと思うんです。
 いろんな状況で、自分を厳しく扱いながらも自分を愛する、
 ときには自分がカワイイですし、
 ときには自分がすごく嫌いでイヤなこともあります。
 そういった積み重ねで得たものだろうと思うんですね」

(「週刊朝日」2012年1月27日号から)

私がとくに聞きたかったのは、
前回書いた、アリーナツアーで彼が語った
「人の上に人を作らず」という言葉を、
彼が好むわけについてだった。
それについても明確に答えてきた。 ・・・続きを読む



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 チャングンソク「最強のヒミツを探る」(1)
by aloetree | 2012-02-29 21:37 | 記事/ 人物

JKSさん酔狂。


by aloetree